当サイトの運営者はTypelessを日常的に使っています。NottaとPLAUDは使用しておらず、この記事の内容は各社の公式ページに基づきます。使用感には触れません。

先に結論:違いは「保存するかどうか」

3製品とも、音声はクラウドで処理されます。大きく違うのは、処理した後にデータを残すかどうかです。Typelessは音声を保存しない設計で、NottaとPLAUDは録音や文字起こしを保存して後から使う設計です。

これは優劣ではありません。会議の記録を後から検索したり要約したりするには、保存が前提になります。選ぶときは「保存されるか」だけでなく、「その用途に保存が必要か」「保存されたデータがどう扱われるか」を見ます。

一覧で比べる

項目TypelessNottaPLAUD
主な用途入力欄への直接の音声入力会議・取材の文字起こし専用端末での録音と文字起こし
音声の保存保存しない保存する(暗号化)保存する(暗号化)
保存場所履歴テキストは端末内。クラウド同期は任意東京リージョンを基本に国内の複数データセンター日本向けはAWS東京リージョン
AI学習学習に使わない文字起こし部分はプランによって学習対象になる(下記)明確な同意なく学習に使わない
運営利用規約の準拠法はカリフォルニア州法Notta株式会社(東京都千代田区)Plaud Inc.(米国)。日本法人は東京都渋谷区

Typeless:保存しないが、画面の文脈も送る

Typelessの公式データ管理ページ(2026年8月25日更新)は、音声を保存しないこと、入力内容を自社・第三者のモデル学習に使わないことを明記しています。履歴のテキストは端末内に残り、クラウド同期は任意です。同期をオフにすると、クラウド上の該当テキストは削除されると案内されています。

見落としやすいのは、音声と一緒に「文脈」も送られる点です。公式ページによれば、利用中のアプリ名や、そのアプリ内の関連テキストといった限られた文脈情報も処理され、結果を返した後に破棄されます。また、OpenAIなどのLLM提供者を利用しており、それらとは保存しない契約を結んでいると説明されています。

保存されないとしても、処理のために外部のクラウドへ送られることは変わりません。社内規程で外部サービスへの送信が禁じられている情報を扱う画面では、保存の有無とは別に判断が必要です。

Notta:文字起こしと要約で扱いが違う

「Nottaは学習に使うのか」という問いには、一言では答えられません。公式ヘルプ「AI学習について」によれば、扱いが二層に分かれています。

文字起こし(音声認識)の部分

Nottaに音声認識エンジンを提供する国内のパートナー企業が、音声と認識結果からランダムに抽出したデータを、エンジンの学習に使います。Nottaはこれを「AI学習」と呼んでいます。この場合、音声と認識結果はいったん国内のデータセンターに保管されます。

「AI学習なし」の環境は、エンタープライズプランとビジネスPlusで提供されています。この場合、音声はメモリ上で処理と同時に消え、ファイルとして保存されず、認識結果もサーバー側に残らないと説明されています。Notta公式ブログでも、無料アカウントではデータがAI学習に使われる可能性があると注記されています。

要約など、文字起こし以外のAI機能

いずれのプランでも学習には提供しないと案内されています。要約にはAnthropic社のLLMを使っており、送られたデータはモデルの学習に使われず、最長30日間保存された後に削除されると説明されています。

つまり、エンタープライズとビジネスPlus以外のプランを検討しているなら、気にすべきなのは要約ではなく文字起こしの部分です。社外秘の会議を録る予定があるなら、プランを選ぶ段階でこの違いを確認します。

PLAUD:日本のデータは東京リージョン

PLAUDの公式ページによれば、日本市場向けのユーザーデータはAWSの東京リージョンで保存・管理され、取得から削除まで暗号化されています。ユーザーの明確な同意がない限り、第三者にアクセスを許可せず、AIモデルの学習や製品改善に無断で使うこともないと明記しています。

端末を製造する工程とデータの処理は、制度面と技術面の両方で分離されているとも説明されています。データ処理補則規約では、セキュリティ上の事故を認識してから72時間以内に書面で通知すると定めています。

「どこの国の会社?」への答え

  • Notta:特定商取引法に基づく表示で、販売事業者はNotta株式会社、所在地は東京都千代田区と公開されています。
  • PLAUD:米国デラウェア州で法人登録されたPlaud Inc.がサンフランシスコに本社を置き、日本法人のPLAUD株式会社が東京都渋谷区にあります。
  • Typeless:利用規約の準拠法はカリフォルニア州法で、紛争はサンフランシスコ郡の裁判所で扱うと定められています。法人名と所在地は、公式サイトの公開ページでは確認できませんでした。

所在国だけで安全性は決まりません。見るべきなのは、データがどこに保存され、誰が何に使えるかです。

認証・準拠の公開状況

Typeless

信頼センターの表示では、ISO 27001が準拠済み、GDPRとHIPAAは自己申告、SOC 2はType I・Type IIとも取得手続き中です。

Notta

ISO 27001、SOC 2、HIPAA、GDPR、個人情報保護法、CCPAを公開。SOC 2 Type2の報告書は2023年2月に受領と明記しています。

PLAUD

ISO 27001、ISO 27701、SOC 2、HIPAA、GDPR、EN 18031の認証・監査報告を取得と公開しています。

Typelessについては「SOC 2取得済み」と紹介する記事も見かけますが、2026年9月23日時点の信頼センターではType I・Type IIとも取得手続き中と表示されています。

認証は管理体制を示すもので、個々のデータの扱いまで保証するものではありません。上で見た「保存」と「学習」の条件と合わせて判断します。

会社で使う前に確認する3点

□ 社内規程で、外部のクラウドへ音声や画面の内容を送ってよいか □ 検討しているプランで、文字起こしのデータが学習に使われるか □ その用途に、録音や文字起こしの保存が本当に必要か